SIEMENSが開発したSimuLiteを使ってみました①
今回の結論
- SimuLiteの導入は10分程度で最高に楽.
- ロボットの動作限界などが設定されている.
目次
- Siemens SimuLiteとは?
- SimuLiteの導入
- SimuLiteで試行錯誤
- 次回予告
1.Siemens SimuLiteとは?
Siemens SimuLite(以降SimuLite)とは,前回の記事↓で紹介したように,クラウドベースのラインシミュレータツールです.
2.SimuLiteの導入
SIEMENSのブログ↓にTry Freeとあるので試してみました.筆者の環境はChromeです.ブラウザで動作するのでOSはChromeが使えれば何でもよいと思っています.
Try Free の画面の次は↓の画像のようなページです.右上のLogInからアカウント登録をしました.
出典:
https://simulite.sws.siemens.com/?utm_campaign=blog_planningwithsimulite
...
↓のメールが来るまではSimuLiteが使えませんでした.
サインインした後の画面です.↓の画像にあるように,すでにいくつかのモデルが用意されているようですね.
出典:SimuLite
今回はTire Spray Cellというモデルを開いてみます.開くまでに1分程度かかりました.あらかじめ時間がかかると思っていれば問題に感じない時間ですね.
↓の画像のような画面になりました.
出典:SimuLite
左下の立方体で視点を操作します.画面上部にある虫眼鏡マークで画面を拡大・縮小ができます.また,動画の再生ボタンがあることから,ラインの動作も見ることができるようです.視点を調整したところ↓のようになりました.
出典:SimuLite
3.試行錯誤
どんな機能があるのか色々試してみました.
試したこと
- シミュレーション機能
- ロボットの動作を検証
シミュレーション機能
Tire Spray Cellの再生機能を使ってみました.再生ボタンを押すだけでタイヤが流れてきて,それをロボットが掴んで機械に入れるような動作が実行されました.
ロボットの動作を検証
↓の図のように,ロボットの腕が曲がる角度の限界が設定されており,限界値では赤枠のように数値が赤くなり,限界を超えられないように設計されています.黄色枠のようにロボットが壁などの障害物と衝突していても特に表示は出ないです.
4.次回予告
次回は,引き続きSimuLiteを使って,自分でモデルを何か作ってみたいと思います.
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Twitterでブログの記事投稿をツイートしています.
巨大企業SIEMENS ブラウザで動作するシミュレーター SimuLiteのサービスを開始
SIEMENSがブラウザで動作するラインシミュレーターのサービスを開始
この記事は以下のSIEMENSの公式ブログを参考にしています.
目次
1.Siemens SimuLiteとは?
Siemens SimuLite(以下SimuLite)とは,Chromeなどのブラウザで動作するCloudベースのラインシミュレータの名称です.数千のコンポーネントで構成されるラインを計画したり,簡単にライブラリから部品を追加したりできます.3Dの配置計画や,ロボットなどの幾何学的な解析が可能です.
出典:
Simplify manufacturing line conceptual planning with SimuLite | Tecnomatix
2.どんなインパクトがあるのか?
SimuLiteによって
- 誰でも簡単に製造ラインのコンセプトを即座に作れるようになる
- 製造ラインの動きを解析する際にCADが不要になる
といったインパクトがあると思います.
誰でも簡単に製造ラインのコンセプトを即座に作れるようになる
自分で書いておいて非常に怪しげな文言ですが(笑),これはインパクトが大きいです.簡単にできることのインパクトはとても大きく,誰でも簡単に動画が投稿できるので,youtubeやTikTokが流行ったのだと思います.簡単に製造ラインのコンセプトを伝えられることで,新たに導入する製品などの価値を伝えることがより簡単になります.
ブラウザで動作し,簡単にラインのコンセプトを説明できるので, 一般的なノートPCさえあれば,
客『あのロボットXってなにができるの?』
営業『例えば,お客様のここにロボットXを置くことによって,こんな動作ができます!』
という説明ができます.
さらに,これはCADではなくシミュレーターなので,使いこなせば
営業『さらに,タクトはxx.xx秒です!』
のようなことまで言えるようになるでしょう.
また,クラウドベースなので,『客先がこういうラインだから,ここにロボットX,Y,Zをいい感じに設置したラインを作ってほしい』とチームメンバにお願いすれば,10分後にそのコンセプトラインを自分のPCで開き,客先で説明ができるかもしれません.同様に,『プレゼン用になんかこういうコンセプトが当てはまるライン欲しいなぁ...』という時に,SimuLiteで簡単にラインを作成することができるようになるでしょう.
製造ラインの動きを解析する際にCADが不要になる
これまで製造ラインの設計者は,自分達がSolidworksなどのCADソフトで設計したラインを何かしら別のシミュレーションソフトで頑張って再現して,この設計ならタクトxx秒だ!というように製造ラインを設計していました.そしてそれを受けてラインの実装担当者たちが設計に従ってラインの実物を作り上げていきます.(めちゃめちゃ簡単に言っていますが,ここに大変な苦労があります.24h時間〇交代制で稼働し続ける工事現場のようなものです.キツ過ぎて心身に異常をきたす人が続出します.)
SimuLiteによって,設計したラインのシミュレーションが可能で,CADで頑張ってシミュレーションせずとも,SimuLiteで実ラインを制御するソフト場合と同等のシミュレーションができます.
これまでCADソフトがシミュレーションに動くのか,他のシミュレーションソフトがCADを包含するのか,のどちらになるか気になっていましたが,製造ラインにおいては,シミュレーションソフトがCADを飲み込んでいく流れができそうですね.
3.なぜSIEMENSがこのサービスを開始したのか考察
一体なぜFAで世界最大手のSIEMENSがブラウザで動作するシミュレーションツールを作ったのでしょうか?考察してみます.
SimuLiteができて他のシミュレータができないことは,クラウドベースの製造ラインデータの共有だと思います.クラウドベースのデータ共有によって,ノートPCでもシミュレーションが可能になるので,誰でも簡単にシミュレーションが可能になります.ラインシミュレーションが『SIMENS商品の卸先の顧客』でもできる簡単にできる状況にすることで,卸先の顧客が上司を説得する材料を提供したかったのではないでしょうか?
製造現場に対してどんないい技術を持ち込んでも,どの程度いいものなのか(タクトが??秒短くなるのか)実ラインに合わせた価値を検証できる何かがないと,導入につながらないことが圧倒的に多いです.そのような状況で価値を確認できるツールとして非常に有効なのではないでしょうか.
4.次回予告
書いていて使ってみたくなったので,次回はSimuLiteを使ってみたよ.という記事にする予定です.
それでは,次回もよろしくお願いします.
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このブログで書いてみたいこと
はじめまして,
訪問ありがとうございます.
このブログでは海外大手企業のFactory Automation(FA)製品について記事にしたいと思っています.
私はFA関連の研究,開発を仕事にしています.
FAにはスマホから自動車まであらゆる製品(ハード)を効率的に生み出すための様々な技術が投入されています.
そんなFAの仕事をしている私がニュースなどを見ていて思うのは,実際に企業が販売している製品とニュースとの内容の差が非常に大きいということです.
執筆を通して,世に出ている製品を知り,どんな製品が今後出てくるかなど予想したいと思っています.